田んぼを《耕す》 トラクターのタイヤの歯 ベンハー

夕方作業を終えて引き上げるトラクターが農道を走っていた。太いタイヤの側面に金属の歯がぐるっと植えてある。それで土を砕くのだろう。「耕す」という言葉は田んぼにはそぐわないような感じもするが、「代かき」は水を入れた後のことと思っているから「代かき」ではない。やはり「耕す」だな。金属の歯を後からゴムのタイヤに植えられないだろうから、最初から歯の付いているタイヤなのか、あるいは歯のある鎖をタイヤチェーンのように巻いてあったのかそこは見逃した。高速で回転しているわけではないがうっかり触れば大けがだろう。
その作業に対応する言葉が無いのはどうしてかと考えているうちに浮かびました。「田起こし」ですね。
「うっかり触れれば」の辺りで思い出したのが、映画「ベン・ハー」で見た、競技場での二輪馬車の競争の場面。悪者の馬車の車輪に歯が付いていて、その男がベン・ハーの馬車に自分の馬車を寄せて、歯がベン・ハーの馬車のスポークを削り始め、ベン・ハーが気が付いて車を離すと、相手が寄せてきてまた削り始める、離す、寄せる、離す、寄せるというハラハラドキドキの場面を覚えている方は多いのではないでしょうか。

読み直してみたら「歯」は「刃」かな。「突起物」なので「歯」が近い。やはり「歯」だな。「刃」は「ナイフの刃」のように使う。「ポケットから刃を出した」とは言わない。もちろん「ポケットから歯を出した」ともあまり言わないが。