言うに事欠いて

「言うに事欠いて」は母親がよく口にしていた言葉だった。わたしの母はこういう「成句」のようなものを好んで使ったような気がする。先日、まさしくこれが「言うに事欠いて」だな、と思った出来事がありました。
ひ孫一と、どこかでお昼を食べようということになり、どこにしようか相談した。わたしは、長崎ちゃんぽんや皿うどんなどがある店を提案した。ひ孫一が、どんな食べ物なの、と訊くので、うどんや、硬い焼きそばの上に、あんかけの具が載っているやつ、と説明した。続いて、あんかけってどんなの、と訊くので、とろみのある垂れ、と説明した。実はわたしは、あんかけが好きなのです、そこはわたしの好みですが、ひ孫一も麺類は好きなので、ひ孫一にとっても良い選択ではないかと思いました。これで決まりかな、と思ったのですが、ひ孫一の返事がかんばしくありません。理由を訊いてみると、あんかけが嫌い、とのことです。根拠はありませんが、ひ孫一もあんかけは好きだろうと思っていたので、びっくりしました。
わたし「あの、いろんな具がとろっとした垂れといっしょに載っているやつだよ。あれ美味しいよね」
ひ孫一「あの、どろっとしたやつでしょ。あれ〈鼻水〉みたいなんだもの」
ここで、わたしの頭に、まさしくこれが「言うに事欠いて」だな、と浮かびました。