久慈には九時までに

最寄りの駅を始発電車5時5分で出る。乗り継ぎ乗り継ぎで、盛岡に18時5分に着く。盛岡久慈間はバスが便利で、琥珀号と白樺号とがあるが、18時5分盛岡着は、どちらの最終便にも間に合わない。琥珀号の最終便は盛岡駅17時50分発(久慈駅前着20時)、白樺号の最終便は盛岡駅18時発(久慈駅前着20時47分)。盛岡から先も列車を使うと、岩手銀河鉄道で八戸まで行き、八戸からあおい森鉄道で久慈に行ける。久慈着は22時20分で九時までに着けない。五分違いで乗れない白樺号の最終便が、何としても悔しい。白樺号は路線バスで停留所もたくさんある。仮に、最初の停留所「夕顔瀬橋」(趣のある名前です)や次の停留所「飯坂橋」までタクシーで追いかけても、間に合わないようだ。タクシーの使用は、旅の「マイルール」からも外れる。走って追いつければそれで良いのだが、スタートの五分遅れを走って追いつくことは無理だろう。無理だ。4番目のバス停に「厨川駅前」とありバスは18時15分に通過する。駅というからには列車も走っているだろうから、ここまで列車で来て、ここで白樺号に乗れないか。18時5分に盛岡に着いて18時15分の岩手銀河鉄道に乗ると厨川駅は18時22分。間に合わない、がバスで15分かけているところを列車は7分で来ている。どこかで追いつける可能性はある。バス停をみていくとかなり先になるが「いわて沼宮内(ぬまくない)駅」というバス停があるり、バスは18時55分に通過する。厨川駅ではバスから7分送れていた銀河鉄道の列車は、いわて沼宮内駅ではどうだろうかというと、18時48分着と、白樺号より7分早く着く。バス停の位置は列車を降りて7分あれば行けるところにある。いわて沼宮内駅前で、盛岡で5分だけ間に合わなかった白樺号に乗れる。久慈駅前に21時まで少しだが時間を残す20時47分に立てる。
ここまでで一件落着なのですが、いわて銀河鉄道の駅と白樺号のバス停との接点ということになると、いわて沼宮内駅の前の岩手川口駅の近くにも「岩手川口」というバス停があることを知り、あれまどうしようと思ったのですが、幸いにも、というのは話の展開の上で幸いにもですが、ここではまだ、バスが一分早く通過しました。岩手川口いわて沼宮内の間は、電車もバスも駅、停留所はありません。道路は岩手川口駅のすぐ先で線路と交叉しますが、地図を見ると踏切ではなく線路の上を越しています(そこが踏切なら、1分遅れの列車の通過をそこで待つことになりここで列車に抜かれるのでしょうが)。そしておおむね線路に沿っています。という条件なのですが、ふたつの駅の間を列車は4分、バスは12分と違いが大きいです。交通量の問題とか、いろいろあるのでしょう。
推理小説には「時刻表を使ったトリック」がよく出てくるが、現実の犯罪を乗り物の時間をもとに計画する、ということはあまりないのではないかと思う。遅れたらそれっきりですから。犯罪現場には着けない時間に時刻表のトリックで着く、という計画であれば着けなければ中止すれば良いのだが、犯罪を実行したあと、ある時間にある場所に居ることで犯行時刻に現場には居られない、というトリックの場合は、乗り物の遅れは致命的になる。