夏の思い出(三)

写真の日付から、二千十年八月二十六日の事。田んぼの間の舗装道路で、追い抜いて行った車が三十メートル程先で止まった。暫くすると車の陰から灰色の物が出て来て路面をゆっくり移動している。車は走り出した。灰色の物は路肩の草むらに入った。急ぎ足で行ってみたら亀がいた。
持ち上げて指輪が出てくると諏訪麦雄の幻の名作「沼の印象」の展開になるのだが、気軽に動物に触れられない性質(臆病とも云う)なので、写真に撮っただけで終わった。
あの亀はあれから田んぼの中に入っていったと思う。稲刈りが始まってコンバインが田んぼの中を走っていた。亀が居たらどうなったのだろう。稲の残った部分の長さから見て、刃には掛らないかもしれないが、車輪には踏まれるかもしれない。でも地面が柔らかいからめり込むだけで済むかもしれない。あるいは亀を巻き込むとコンバインの刃が欠けるので事前に亀探しをして取り除くのだろうか。
田んぼの人にその辺を尋ねたいのだがプロには話しかけ難い。

写真では大きく感じますが、それ程でもなかったような気がします。手の平の幅で一個半くらいだったでしょうか。