失見当

しゃがんだときに、お尻の下の紙を差し出す。後ろ脚に触れるとびっくりして中止してしまうから、触れないように置く。慌てた気配を発してもいけない。気配を感じて振り向いて中止してしまう。慣れてはきたが、かなり精神を集中させて行う必要がある。上手くいって紙を折りたたんでビニール袋に入れて、口を堅く縛って一件落着で立ち上がる。
周囲を見廻してあれっと思う。四角い公園のどの辺りにいたかが、解らなくなっている。モモがしゃがんだのに合わせてしゃがんだときは、どの位置にいるかは解っていたのは間違いない。しゃがんでいる間に「公園のどの位置に居るか」の認識が消えてしまっている。驚く。こういうことが何回かあった。
試してみて下さい。といっても試そうと思ってしゃがんで立ち上がっても起こらないかもしれません。公園を散歩していて足元に花があった。しゃがんでじっくり眺めた。他のことを忘れて眺めた。それから立ち上がった。そのとき!です。「私は誰?」まで行ったら行き過ぎですよ。

預かっているとはいえ、名前がないと困る。モモにしました。モモ、もも、桃、MOMO、百。特に決めていませんが。