続き『私のいない高校』青木淳悟

抜き書きしてみます。といっても抜き書きした部分が特にどうということではないです。

 夏休み気分に浸るにはまだ早く、終業式まであと一週間余りを残していた。その間授業はなく、教員が成績処理をする期間は「試験休み」ともなったが、それでも最終盤に学校で全国模試を受けるため登校日が二日入った。

「最終盤」というのは学校用語でしょうか。学校という場に強く結びついた小説です。

 十四日水曜日の一限は体育でダンス、月水金曜日とも体育の授業は一限に入った。しかもこれは菊組だけの事情ではなく、椿組も蘭組も同じ曜日の同じ時間に体育があった。スポーツとダンスで実技二コマ、保健が一コマという編成で、担当する三人の体育教師がクラス毎ではなく分野別に三クラスを教えた。

この部分が何かの伏線ということもありません。

 その三限個別指導でのこと、テキスト本文に「もうこんなじかん! はやくしなくちゃ」と出ていたのを、
「もうこんなじかん! まやくしなくちゃ。」
 と留学生が一字間違えて読んだのが偶然にもうまい洒落を作っていた。これは天賦の才だと担任は冗談を言いつつ、そのページのイラストを見るたびに思い出しては、のちのちまでこのときの笑いを引きずることになった。

「担任」も「留学生」も小説内で名前が付いているのですが、基本的に「担任」「留学生」と書かれています。この後、小説に麻薬が登場することもありません。
最後の部分ですが、ちょっと楽しそうな場面だなと思って抜き書きしたのですが、偶然にも面白い(私は良いと思う)点がありました。「。。。冗談を言いつつ、のちのちそのページのイラストを見るたびに思い出しては笑った。」とすれば普通で自然だと思うのですが、「。。。のちのちまでこのときの笑いを引きずることになった。」と再度今に戻り終わっているところに「飛翔する感じ」があり面白いと思ったのですが、どんなもんでしょうか。