ひらひらひらひら

そこは雑木林の斜面を見下ろす位置で、木の葉が目の下に広がる。一塊の葉−−枝分けれしていった最後の枝の五六枚の葉−−が、風もないのに、と感じるように、体に感じる風はないが、斜面には風の通り道があり、そこには空気が流れていて、その葉のところが通り道になっているためだと思うが、ひらひらひらひら揺れていることがある。いつもその五、六枚だ。私は風を感じないから、葉が自分で動いているように見える。「目の錯覚じゃないですよ。私たち自分で動けるんですよ。ほらほら」のように動く。しまいには「さあさあ、もう十分見たでしょ。行った行った」と揺れる。