踏切にまつわる話

踏切のレールとレールの間には、レールの高さほどの厚みのある鉄板を置いている。その鉄板に小さな文字が書いてあった。ふすま張りや障子張りで取り外した後、どこに戻すかわかるように、ふすまや障子に小さな文字が、例えば「2、6畳南内」と、実際にこんな風に書いてあったかまるで覚えていないが、意味としては「2階の六畳間の南側の内側」のように、戻す場所が特定できる文字だった。踏切に置いてある鉄板にもそれがあった。
その踏切には4本のレールがある。レール1本を2枚の鉄板で挟んでいる(レールの内側も1枚ではなく2枚の鉄板が置いてある)。それで8枚の鉄板を使っているわけだが、それぞれの鉄板の置き場所の特定はつぎのようにされていた。
まずは上り線のレールを挟む鉄板か下り線のレールを挟む鉄板かを「上・下」の文字で区別する。上り線の2本(あるいは下り線の2本)のレールを区別する文字が面白い。「海」と「山」を使うらしい。近くに海や山がなくてもそれで分けるらしい。この踏切も近くに海がない。またこの場合の「山」はたまたまそこに小さな山があるという山ではなく、その一帯にある山脈のような山だと思うがそういう山はない。この踏切では、南側、はるか遠くに東京湾がある側のレールを「海」としていた。「上・下」と「海・山」で4本のレールのそれぞれが特定できる。鉄板はレールを挟むように置いてあるから1本のレールに2枚使うが、2本のレールの内側に置く鉄板か外側に置く鉄板かで「内・外」の文字で分ける。これで8枚の鉄板をどこに置くかの特定ができる。
写真の文字を見てください。「下り線の山側のレールを挟む鉄板の内と外」の鉄板に書いてある文字です。数字の「2」ですが、踏切の幅を1枚の鉄板ではなく2枚の鉄板で埋めているのですが、その区分です。どういう基準で「1、2」を付けているか、こんど見てきます。分り易いように、話は8枚で進めました。歩いていて上り線の海側の鉄板い書いてあった「上海」を見て地名の上海が何故ここにと思いました。面白いなと記憶に残りました。長々と書きました。面白い話だと思ってくれた方もいるのではと思いますが。