最寄りの駅のこと(二)

しゅうちゃく
最後のところに到着すること。終点に着くこと。
━‐えき【終着駅】 鉄道の終端にある駅。終点。転じて、最後にたどりつくところ。

しはつ
1電車、列車、バスなど、定期的に走る運輸機関で、その日の最初に出発、発車すること。また、そのもの。「始発列車」
その駅、停留所を起点として出発すること。また、そのもの。「始発駅」

しゅうはつ
最後に出発すること。その日の最終に発車する汽車、電車など。

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前の記事で「私の住まいの最寄りの駅からは始発電車があり、終着電車もある。」と書いたが、「私の住まいの最寄りの駅は、当駅始発の電車があり、当駅止まりの電車もある。」とした方が、書いた私もすっきりしたと思う。

というわけで、最寄の駅から下り方向に少し進むと、上りのレールと下りのレールの間に、もうひと組みのレールが表われる。当駅止まりの電車は乗客を全員下したあとホームを出発し、静々と−−通常は加速するがそれをしないので、静々と、という感じ−−真ん中の線路に入っていく。正面と側面の表示は「回送電車」となる。真ん中の線路−−「待機線」という名前がぴったりすると思う。当駅始発の電車として出発するまで待機する。「待避線」ではない。待避線は通過電車をやり過ごす場所で、本線から分れるところは「待機線」と同じだが、こちらは本線から分れ再度本線に合流する。内房線の先の方で単線の部分は各駅に待避線がある。千歳駅という駅が待避線がない駅ということで有名、というのも変だが知られているそうだ−−待機(用)線(路)は、少し上り勾配がついている。ただ良く見ると、通常の上り下りの線路が、駅から下りに向かって少し下っているので、それに対してはかなり上っているように見えるが、実際は少しの上り勾配だと思う。待機線部分は横から見ると、学用品でおなじみ三角定規のうち、二等辺三角形ではないタイプの定規を、直角を挟む二辺のうちの長い辺を地面に付けて置いた、ふうに見える。九十度以外の二つの角は、十度と八十度くらいだろうか。側面はコンクリートになっている。待機線部分の頂点に近いあたりの側面は人の背より高い壁になっている。このコンクリートに大きな文字で「退避禁止」と書いてある。この「退避禁止」の文字の意味を考えるに−−ようやくここからが本題だろうか−−線路の保守作業をしていた人が、通過する電車を避けるときに、このコンクリートの壁側に避けてはいけません、という意味だと思う。壁でない方に避けて電車をやり過ごすように、という意味だと思う。コンクリートの壁と通過電車との間の隙間が人ひとりの厚み以下ということはないだろうが、それにしても狭いのだろう。コンクリートの壁と通過電車の側面に挟まれた狭い空間で、通過電車が高速で通過するから、電車側に引っ張られるのだろうか。退避場所としては危ないから「退避禁止」の文字があるのに間違いないと思う。
背後のコンクリートの壁にぴったり背中を付けて、通過する電車をやり過ごそうとしている人の、背後のコンクリートに大きな文字で「退避禁止」と書いてあるが、その人はその文字に気がついていない、といった場面を想像してしまう。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

読み直して修正したが「待機線」とするべきところを「退避線」と書いたところが何箇所もあった。それから、線路について「待機線」との比較で「退避線」ということを書いているが、この「待避線」の「退避」と、この話の眼目の「退避禁止」の「退避」は直接関係ない。「待避線」は持ち出すべきではなかったか。

待機線の写真。待機線の長さは線路より長く、電車は末端の車止めよりはかなり向こうに停車している。茶色がかった白い長方形に「退避禁止」の文字がある。この写真は下りの線路側から撮ったものだが、線路の向こう側では、コンクリートの壁に直接「退避禁止」という文字が書いてあり、その方が「差し迫った警告」という感じがする。長々と書いた文章を読んで、それからこの写真を見て、どう感じましたか。

「退避」と「待避」がごちゃごちゃになっている。写真で見るプレートの文字は「待避禁止」だがコンクリートに直接書いてあった文字は「退避禁止」だったような気もする。