こんなことがありました

散歩のコースで川の方へ行かないときは町中のコースになるが、小学校の校庭と地続きになっている公園を通る。ここで「公園」というのは、姿かたちが公園になっている、という意味ではなく、柵も境界線もないが、校庭の、あるところから先が公園なのです。「○○公園」と、名前もちゃんとある。柵も境界線のない、と書いたが大きな木が一本立っていて、そこが境界だと思う。珍しい在り方の公園だと思う。しかし公園についてのこの説明は、次に書くことと直接には関係しない。
その公園を抜けるのだが、先日の散歩のとき、遊んでいた小学生(三年生か四年生くらいか)が寄ってきて、(モモに)触ってもいいですか、と訊くので、しっぽの方はびっくりするから、そっと頭に触ってといいうことで、頭に触った。続いて何人も寄ってきてみんな、モモの頭の辺りに触った。あんまり大勢だとびっくりするかな、と言ったら最初に触っていた子が、じゃわたしもういい、と手を引っ込めたり、良い子たちだった。ひとしきり子供たちが触ったところで、そろそろ行くから、と歩きだした。そうしたら後ろから声が聞こえた。「あのおじいさんの口のところに歯磨き付いてた」と。慌てて唾を付けて口の周りをこすった。確かに出る前に歯磨きをしたし、日ごろから口の周りに白くつけていることがあるから、付いていたのは間違いない。「目やに」やなんかであれば恥ずかしいが、「歯磨きした証」だからそれはそれで、そう悪くもないのでは、とそのことについては特に動揺はしなかった。そのとき思ったのは「あれ?わたしは、やはりおじいさんに見えるんだ」ということだ。そういうつもりはないんだが、それはわたしの個人的見解だったのか。それにしても白いものを「歯磨き」と判定した子の観察眼はたいしたものだ、とこれは今思う。