苦吟の果て

坂を自転車で登ってくる人を見るとかなりの老人のようだ。立ち漕ぎもせずに登って来る。低いギア比にして登って来るにしても尻を上げずに漕いでいるとは、すごい脚力だと思って感心して見ていた。近くに来た自転車を良く見れば、サドルの下辺りに入れ物のようなものが見えて、そこでなるほどと納得したのですが、電動自転車でした。これを川柳にしようと半年(半月ではなく半年です)くらい考えていた。老人/遠くから見て感心していた/近くで見て謎が解けた/電動自転車、というような要素を五七五に盛り込むのは難しかった。

○老人の脚力見れば電動車
○驚愕の脚力見れば電動車
○老人の驚異の脚力電動車
こんなところだろうか。「脚力」と「見れば」の間で一呼吸、という説明は入れなくてもそう読んでほしい。最後のものは「最初の思い違いが分った」という要素がないので、ちょっと不満。

昨日、正体が分ったという点では「幽霊の正体見たり枯れ尾花」と同じだと思い浮かんだ。そっくり借りて作った。

○脚力の正体見たり電動車
老人という要素は落ちてしまったが、「正体」で「思い違い」が表せるというところはなるほどと思った。「老人」も詰め込んでみた。

○老人の脚力正体電動車

同じような光景を見た方も多いのでは(坂のない町の方にはあまり機会がないかもしれませんが)。皆さんでしたらどう作りますか?