十把一絡げ

佐倉市民は全員、長嶋茂雄ファンである、ということがないと同じように、日光にあるのは東照宮だけではない。大猶院もあるし輪王寺もある。それをしっかり把握していなかった。バスを降りて人の流れに付いて行って拝観券を−−取り敢えずセット券を−−買って見たのが大猶院だった。今思い出すと、大猶院の全体的に黒っぽい色調が、東照宮の派手さより好ましく思い出される。それと、いかめしい制服を着た職員がいるのが好きではない。伊勢神宮でも見たが、デザインは変わりないと思うが色が灰色で−−あれは夏服だったのか−−灰色の方が柔らかい印象だったが、東照宮で見たのは、冬服なのか濃い紺の制服でわたしは好きではない。大猶院を見た後、東照宮に向かい、拝観券を買う長い列を尻目に、セット券を買っておいて良かった、からもう少し盛り上げて、こっちが混んでいると分かっていたからセット券を買ったんだよ、くらいの勢いで石段を登り、例の制服の職員に券を見せたら、これは違いますと言われ、すごすごと石段を降りた。孫やひ孫に向けた得意顔が一気にしぼんだ。皆がまだ石段の途中だったのがせめてもの救いか。東照宮は嫌い!の本当の原因はこれかもしれない。セット券については購入するときに、輪王寺とのセット券と言われたのだが、輪王寺東照宮と同じだろう、というような都合の良い考えをしていた。東照宮を見るのは止めて、輪王寺も止めて東武日光駅に戻った。鬼怒川方面に行く列車に確実に間に合うように。
東照宮には三日目に華厳の滝から戻ってから寄った。派手だった。ずいぶんお金を掛けたに違いない。その真下で拍子木を叩いたときだけ鳴る天井が不思議だった。輪王寺に向かって下っているときに、ひ孫一がおしっこと言いだして、半分走ってWCの看板を辿って行ったら、駐車場にトイレがあり、そのまま坂を下って「神橋」に出た。今回は輪王寺には縁がなかった。