旅の番外編 同宿者は「ちゅうそうたい」参加者

旅の報告は一か月、というか7月20日が出発日だから、二か月弱かかった。起きた事柄を起きた順番に書いていくことはなかなか苦しい。
「ちゅうそうたい」のことを書きたい。どんな漢字が当てはまるのか、分る人には分るだろうが縁のなかった人には分らないと思う。JTBの窓口の人が長崎の宿に電話したあと「”ちゅうそうたい”と言われてもね」と半ばひとり言のように言ったそのアクセントが「貞操帯」のアクセントと全く同じで、わたしの方はそれでまごついた。文字としては「紐帯」が浮かんだ。’ちゅうそうたい’で中学生がたくさん泊まっている、と宿の人が電話で話したらしい。「中学総合体育大会」の略で、宿の人は、おそらく何年にもわたって毎年’ちゅうそうたい’に出場する生徒を泊めているので、当たり前のように略語を使ったのだろう。その長崎のホテルは、駅でいえば浦上駅が最寄だった。玄関の前に屋根が、その下に車一台が玄関扉に横付けできる程度に突き出している。「車寄せ」というのだろうか。玄関の脇には、「○○御一行様」とか「××中学校様」というような文字が黒地の板に白字で縦に書いてある看板が何枚か並んでいた。その外観から、何十年と修学旅行の生徒たちを泊めて来た宿だと思う。部屋には18インチか20インチのテレビがある。廊下の自動販売機で視聴用のカードを買うとアダルト放送が視られる。さて、部屋には生徒だけだから修学旅行生も視ようと思えば視られるな、と思った。それとも生徒の部屋のテレビは片付けるのか?手間のかかることだなと思いながらテレビの横を見るとリモコンが二つ置いてある。ボタンがたくさんあるものと少ししかないものとが。それを見て閃いた。ボタンがたくさんあるリモコンでないとアダルト放送は視られないようになっていて、生徒の部屋からはそのリモコンを片付ければ良いのだ。なるほど、修学旅行宿の知恵だ。謎が解けたのでさっそく廊下の自販機でカードを買ってポタンのたくさんあるリモコンと一緒に隣の中学生が泊まっている部屋のドアの下の隙間から押し込んだ。あの生徒たち、翌日の結果はどうだったろうか?ここのところ信じる人はいませんよね。リモコンがはいるほどドアの下に隙間があったら大変です。