「てくる」から『諸形容語の数量的基準』へ

「てくてく」という語を読んで父のよく使っていた「てくる」を思い出した。そこで、はてな?と思った。「てくてく」は「絵本」などにもよく登場する全国的に通用する言葉なのに、それと無関係とは思えない「てくる」が、なぜ方言なのだろうか、と。答えは簡単だった。「てくる」は方言ではなかった。

「てくてく」の「てく」の動詞化。歩いて行く。てくてくと歩く。

「てくてく」に戻るが、「向かいの雑貨屋まで醤油を買いに、てくてく歩いて行った」とは言わないのではないだろうか。「てくてく」を使うにはそれなりの距離が必要ではないか。ずばり「1.5キロ」は必要ではないだろうか。そこから『諸形容語の数量的基準』という本の執筆を思い立った。例えば「いそいそ」の項には「身長×0.4以上の歩幅であることが必要条件である」というような記述がくる。なかなか良い思い付きだと思うのだが「てくてく」と「いそいそ」のふたつから増えていない。