旅行中の雨

九日間で「歩いてときに雨に会った」は二回だった。少なかったと思う。乗り物に乗っているときや、夜寝ているときも含めたらもっと多い。一回目は伊勢神宮だった。外宮からバスで内宮に廻り、正宮の参拝を済ませて、登った階段とは別の坂道を下ったところ−−わたしが行った日は空いていたが、参拝客が多い日は、参拝を済ませた人が登ってきた階段を降りたら、大混雑で危ないので、降りる道は別にしてあるのだと思うが、その坂道を下ったところで降り始めた。最初は木の下にいたが、すぐに強くなったので、折り畳み傘をリュックの底部のブロックから取り出した。底部のブロック、と書いたが、リュックの底が高さ十センチほどの独立したブロックになっている。近くの神楽殿の軒下でやり過ごした。三十分ほど降り続いたと思う。新宮へ向かう途中。リュックから傘を取り出して、広げはしなかったが、空気に当てて水気をとったことを覚えている。海岸沿いの家を見て、裏庭が海のような住まいだな、と思ったことを覚えている。何故、表でなく裏庭と思ったのかは分らない。
雨に会ったもう一回は、傘をさすまでもなかった。ぽつぽつと三分ほどだったか。京都駅からホテルへ歩いている途中だった。

多気の駅に入ってくる列車

新宮へ行く途中。