「聴く」と「聞く」

ある政党のポスターの「小さな声を聴く力」という言葉を見て「聴く」は「聞く」の方が良いのではないか、と思った。「聴く」から「垂簾聴政」という言葉を思い浮かべたせいか「聴いてあげる」という感じを受けた。そのことを書こうと思ったのだが、書く前に調べた。

https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/gimon/151.html

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  • =聞〔一般用語〕うわさを聞く、聞き捨て、聞き流す、聞く耳持たぬ、話し声を聞く、物音を聞く
  • =聴〔特殊用語。身を入れてきく〕聴く(音楽・講義・国民の声などを-) 

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「聴く」に「聴いてあげる」という意味は付いていない。しかも、使用例にある聴く対象に「国民の声」とあるくらいだから、ここはやはり「聴く」で良いのだろうと思った。その政党の宣伝の動画も見た。「聴く」で良いかな、と思えた。そんなこんなで、日にちが経過した。

それで、今日これを書き始めて、改めて上記のリンク先の内容を読んで、気が付いた。「聴く」を使う対象は「相手が語りかけてくること」ではないか、と。この政党が「自分たちに語りかけてくる声はひとりの声でも注意深く聴きますよ」というようなことを言いたいなら「聴く」が適当だろう。しかし、「風の音」を「きく」なら「聞く」だ。「小さな声を聞く力」となる。どうだろうか。