言葉と色・音/詩と散文

『文学とは何か』サルトル
「1.書くとはどういうことか」より

色や音によって仕事をするのと、言葉によって表現するのとは、まったく別の事である。音符や色や形は、記号(シ−ニュ)ではなく、外部の何かと対応しているわけではない。

語る人間は、言葉の彼方に、対象のそばにある。詩人は、言葉のこちら側にある。前者にとっての言葉は、飼い馴らされている。後者にとっての言葉は、野生のままである。前者にとってそれは役に立つ約束であり、次第に使い古されて、もはや役に立たないというときには棄てることのできる道具である。後者にとってそれは草や木のように地上におのずから成長する自然の者である。

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