『聖なる怠け者の冒険』森見登美彦

京都が舞台。作品の重さの中で場所の占める割合が大きい。京都で過ごしたことがあり、京都の地理や祭りを知っており、過ごした時がその人にとって良い時であったなら−−おそらく筆者はそういう人に当てはまるだろうと推測する−−わくわくしながら、しみじみと感慨に浸りながら読めると思う。
本に挟み込まれていた「森見新聞」によれば、新聞連載時は、ぽんぽこ仮面と小和田君は小説の冒頭から全面対決する話になっていたようだが、その方が、ぽんぽこ仮面が小和田君を、跡継ぎになってくれと追いかけまわすこの本のストーリーより面白かったのではないかという気もする。