『杳子・妻隠』古井由吉

「杳子」の方を読み始めた−−山で出会った場面まで−−ところですが、ちょっと面白そうなことがあって書き出してみます。
文芸春秋の社内選考でひとつに絞れなかったので、古井由吉については「杳子」と「妻隠」が芥川賞の候補作になりました。各選考委員がこの二つについてどう言っているかを書きだしてみます。
情報の元は http://homepage1.nifty.com/naokiaward/akutagawa/senpyo/senpyo64.htm

滝井考作  「杳子」は油彩、「妻隠」は水彩。
丹羽文雄  「妻隠」の方に伸びていってほしい。
石川達三   どちらも推さない
舟橋聖一  「杳子」
中村光男  「妻隠
大岡昇平  「妻隠
川端康成  「杳子」
永井龍雄  「妻隠
石川淳   「杳子」
井上靖   「妻隠

一票差で「杳子」に決まったということは、滝井孝作、丹羽文雄はこの選考に関しては「杳子」を選んだのだろう。
大岡昇平の選評に下記のようにあるとのこと。引用の引用です。

「実感派と目されていた委員が、こぞってこの作品(引用者注:「杳子」)を推したのは、興味深かった。」