空の音符

音符の各部の名称は「たま」「ぼう」「はた」だそうだ。形そのままの名称だ。丘の上の鉄塔と鉄塔の間に送電線が五、六本走っているのが、薄暗い空を背景にまだ黒く見えるとき、そこにほぼ丸い月が、線の間にきたり線の後ろにきたりするのを見ると、月に「ぼう」と「はた」が付いていたら「五線譜」と「音符」に見えるのに惜しいな、と思うことが何回もある。そのことを書こうと、音符の「各部の名称」を調べて、そこには音符の種類も載っていて、それを見て、ああそうだったと思い出したのだが、「ぼう」と「はた」のない「たま」だけの音符、「全音符」という音符があったのだった。