『容疑者の夜行列車』多和田葉子

第1輪  パリへ
第2輪  グラーツ
第3輪  ザグレブ
第4輪  ベオグラード
第5輪  北京へ
第6輪  イルクーツク
第7輪  ハバロフスク
第8輪  ウィーンへ
第9輪  バーゼル
第9輪  ハンブルグ
第11輪 アムステルダム
第12輪 ボンベイ
第13輪 どこでもない町へ

目次を書いてみても、内容の紹介にならないとは思います。列車の旅だけに目次が「第1りん」「第2りん」とはしゃれているな、と思って読んでいた。はっきり覚えていますが、第12輪で、ひょっとして「話」に掛けて「わ」と読ませるのかと、気が付きました。

「いやいや、あなたはついているし、才能もあるし。」と知りもしないのに、黒胡麻を擂る、白胡麻を擂る。あなたはアルコールのせいもあり、おかしくておかしくて、お尻から笑いが漏れそうになった。

このような私好みの表現がたくさんあります。「あなた」で書かれて小説です。何故「あなた」で書いたのかは理解できませんでしたが、読み進めるうちに違和感はなくなりました。