ヘルター・ミューラー短編集『澱み』 ヘルター・ミューラー

30年前に書かれた、著者の最初の作品集とのこと。
多和田葉子の作品と似た雰囲気を感じた。

訳者あとがき(山本浩司)より

このようなテーマを設定する以上は、ミューラーの作品自体も文学的な常套表現の化けの皮を剥いでいかざるをえない。いわゆる物語の約束事を否定して、新しい語り方を模索せねばならないのだ。それはとりわけ統合的な物語を避け、細部の肥大化として現れている。具体的には、小道具や動作や身振りなどの特権化といえばいいだろう。