フェリーでの部屋

「ゆうかり」の船内図(船会社のホームページでは「デッキプラン」となっているので「デッキプラン」と呼ぶようです)を見ると、わたしの寝た「ツーリストJ」という定員12名の和室(床は畳ではありませんが、ベッドの部屋ではないという意味で和室ということで)は、船の中にひとつしかなかった。最も運賃が安い部屋だから、一般的には各等級の部屋のなかで、最大多数を占めていて良いと思うが、少なくともこの船については少数派だった。船内をぶらついたときに見掛けはしなかったが、乗っている間は、同じような部屋が船内のあちこちにあるものと思っていた。
調べてみたら「デッキプラン」とは、船客に提供される部分の船内図のようで、機関室やフェリーの車両甲板等は載ってこないようです。検索するとでてくる「ダイヤモンドプリンセス」のデッキプランを見るとちょっとした「町」のようです。そうはいっても、おそらくこのグレードの客室の客はここには入れない、というような規則があるだろうから「町」とは違う。
部屋は船首と船尾の真ん中あたりの右舷にあった。部屋は舷側のすぐ内側にあり、部屋の入り口は、船の中央側にある舷側と平行に走っている廊下側にある。その廊下から戸が一枚の引き戸を開けると、目の前が靴脱ぎ場でその奥に四人分のスペースがある。それが部屋の左半分で、右半分は靴脱ぎ場がない分広い。八人寝られる。右半分と左半分は、腰の高さほどの高さの戸棚で仕切られている。戸棚は上半分には扉がついており下半分には隣との仕切りはあるが扉はない。この戸棚の一区切りがひとり分の寝床の幅になる。縦横とも畳一枚よりも少し大きい、という大きさがひとり分の寝場所だ。ひとり分の区画に番号がついており、乗船時に受付で番号が決められる。毛布一枚と枕一個がひとり分の寝具だ。わたしは左半分の一番奥だった。同じ左半分の入り口側は中学生くらいの男の子とその両親と思われる一行だった。右半分は敦賀では空いていて新潟から何人か乗って来た(夜10時過ぎ)。眠ってはいなかったが横になっていたので何人乗って来たかは定かではない。左半分の四人は船尾側(棚のある方)を頭にして寝ていた。右半分は見なかったけれど、ホームページの船室の写真を見ると、左半分と同様に船尾側に枕が置いてある。右半分も左半分も、部屋の左右を仕切る棚の方を頭にしていると思っていたのでちょっと意外だった。進行方向を足にした方が寝心地が良いのだろうか。寒くも暑くもなかった。背中からエンジンの揺れが伝わってくることも無かった。いびきも聞こえてこなかった。ああ眠れない、というようなため息は聞こえてきたが。二時間くらいづつ二、三回眠ったかもしれない。25日早朝に着いた秋田は寒かった。左半分の四人は秋田で下船した。家族連れは車で乗船していた。

7月25日4時40分。秋田入港直前。太陽とフェリーの間に船が入った。

弘前駅