後姿

三か月か半年ぶりに、その人ーーわたしと同年配の男性ーーに、いつもの場所でいつもの時間に出会った。時間は午後4時台。わたしは犬の散歩の途中で、その人は、今回もそうかどうかは分からないが、以前の立ち話で聞いた話と同じであれば、早めの夕方から開く居酒屋へ繰り出す途中だ。

立ち止まってあいさつを交わしただけだか、その人は元気そうだった。顔色は小麦色でつやつやして、目は大きく開いていてくりくりしていて、言葉も明瞭で、背筋も伸びていた。前より若返ったように感じた。別れて、すごいな偉いな、と思いながら少し歩いて、振り返った。その人の後姿はまだ見えた。あれ?と思った。足が外を回っていた。前に出る足が、後ろから見ると、体の外側を通って内側に入って前に出ていた。

わたしもそうなのだが、足の上がり方が少ないと、足をまっすぐ前に出すと踵が地面に付いてしまう。それで足を外に振ってから前に出すようになる。その人もおそらくそうなのだと思う。やはり老いはあったか、としばらく後姿を見ていた。