驚きの種類

蜜柑の木に実が生っているのに気がついた。実が大きくなって気がついたのではなく、色が橙色に変わって気がついた。葉と同じ緑色の間は、大きさは食べられる大きさになっているのに気がつかなかった。昼間の月が午後のある時間に見えてくるのと同じ原理だな、と思った。そこに在って、大きさも十分おおきく、目とそのものとの間に遮るものがない。それなのに見えない。そういうものが見えたときの驚きは、驚きの中でもちょっと違う驚きのような気がする。