たたらを踏む

いちいち、次同じ高さ、次同じ高さ、次十センチ上、次同じ高さ、次十センチ下……というように、明瞭に意識していなくても、一歩足を踏み出すときには踏み出す先の面の高さについての意識があるはずで、それで踏み出す脚の高さを決めているはずだ。同じ面だと思って踏み出した先の面が、今いる面よりも低い場合、段差が小さければ次の一歩の足裏に予想外の衝撃を感じるくらいで済むが、逆に段差が大きければそこで転倒してしまう。ある程度の段差の時には、転ぼうとするところを転ぶまいと低い面に降りた第一歩の次の足を大急ぎで踏み出す、それでもまだ上半身だけ前に進もうとするので、さらに大至急次の足を踏み出す。こうして多くても三、四歩では、踏みとどまれるか、前のめりに転ぶかの結論がでる。「たたらを踏む」には「その場での足踏み」という意味もあり、語源となった「たたら」はその場に止まって踏んでいるが、上に書いた「多くても三、四歩の足踏み」にも使われる、どちらかというとそちらが主流かもしれない。