カレンダー

洗面所にカレンダーが掛けてある。一行が一週間、日曜から土曜までで、一か月一枚。一日分の桝にはちょっとした予定が書き込める。四月一日だったか、一緒に歯磨きをした後で、ここから学校だね、と五日を指したら、書きたい書きたい、と言って壁にカレンダーを留めてある画鋲に紐でぶら下げてあるボールペンで、カレンダーに書き込んだ。「学校」と横書きしてその下に「(りんの)」と書いた。名前をかっこで囲んであったのは、後から見直したときに気がついたのだが、感心した。ただ「りんの」でもそれはそれで良いけれど、そこは、かっこで囲むのがよりふさわしいと思い、そういう感覚が身に付いたことに感心した。四月六日のところには「すいぞくかんにいく」と書いた。そんな話はあったかな、と首を傾げていたが、どうも書いてみただけのようで、水族館に行きたいというような話はその後出てこなかった。四月十七日に「もっちゃんたん生日」と、叔父さんの誕生日を書いた。一枚の右下隅の桝は「食事運動ヤクルト」という文字で埋まっているので、その左側、日にちでは五月三日の桝がその一枚の最後になるのだけれど、そこにもひと言書き込んだ。なるほど、と感心するひと言を書いた。「おわり」と。天才だろうか。